ノミの投資家奮闘記

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サラリーマン投資家の米国株長期運用記  

General Electricを財務分析してみました!

 

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こんにちは!ノミの投資家です。

8月はお盆休みで帰省やら会社でも飲み会が重なり全然ブログ更新できてませんでしたが、ようやく記事を書くことができました。今回は渦中のGEについて財務分析してみました!いろいろと話題になっている銘柄ですが、数字はどうなっているのか見ていきたいと思います!決算データのソースはいつも通りMORNINGSTARになります。

1.GE不正会計疑惑

ゼネラルエレクトリックは米国が誇る重電・医療機器メーカーの雄で、あの有名なトーマスエジソンが設立した会社を源流に持つ由緒正しい老舗です。日本との関係も深く、戦前は東芝(旧芝浦製作所)の大株主であったり、近年でも原子力関連で日立と合弁事業を行ったりと日本の技術発展にも多大に貢献した企業ですが、ここ数年は業績不振に喘いでおり、苦境に立たされていました。そんな苦しい状況の中で、今月追い打ちを掛けるように米国の著名な会計士によって不正会計疑惑をかけられており株価が暴落している状況です。

【GEの株価推移】

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2000年ごろは60ドル近くあった株価ですが、ここ20年で80%ぐらい下落してしまっています。20年間ずっと保有していたとするとどこで買っていても全員が含み損を抱えていることになるのでホルダーの方は非常に苦しい状況かと思います。

【不正会計疑惑の報道】

 米著名会計専門家のハリー・マルコポロス氏は15日、米電機大手ゼネラル・エレクトリック(GE)による巨額の不正会計疑惑に関する報告書をインターネット上で公開した。少なくとも380億ドル(約4兆円)の損失を隠匿しているとしている。マルコポロス氏は過去に巨額の詐欺事件を告発したことで知られており、株式市場でも波紋が広がっている。

 GEは15日、報告書について「根拠がない主張だ」とする声明を発表し、疑惑を否定した。

 マルコポロス氏は170ページを超える報告書で、GEが保険事業に関連して将来予想される支払いに備えた引当金を十分に積んでいないと分析。さらにGEが保有する関連企業株の会計上の扱いでも不正があると主張した。不正額はGEの時価総額の4割以上にあたるといい、01年に経営破綻した米エネルギー大手エンロンによる不正会計事件よりも深刻な事態だとしている。

https://www.sankei.com/world/news/190816/wor1908160023-n1.html

 こちらがGEの不正会計疑惑の報道ですが、4兆円の損失隠しが行われていると言ってますね!!!4兆円って凄まじい額ですね、日本の重電メーカー三銃士の一角である三菱電機の1年分の売上に匹敵するレベルの額になりますから莫大な損失になります。これが真実であるとするとGEは経営破綻する可能性がありますね、、、

さて、こんな苦境のGEですが、実際財務状況を見て、どんな感じで苦しいのか確認してみたいと思います。

2.収益性分析

早速GEの収益性を見てみたいと思います。

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売上は1200億$なので日本円では12.6兆円(105円/$換算)ぐらいですね。日本の重電メーカー首位の日立が10兆円弱なので日立の1.5倍を誇るレベルなのでとてつもない巨体になります。18年の営業利益率も8.2%と日立の7.9%を上回るので営業力・販売力・製品力の底力は日系企業を上回る水準になります。しかし注目すべきは営業利益率の低下推移です。14年は37%と圧倒的な収益率を誇っていましたが、15年以降は急激に低下し現在も2桁に乗せられない状態が続いています。売上も同じ時期に急減していて、この時期に家電部門を他社に売却しているので、これが収益の大幅減に影響していると思われます。

3.キャッシュフロー分析f:id:nomiinvestor:20190819225651p:plain

CFについても非常に苦しい状況です。営業CFは辛うじてプラスを確保していますが、16年からは投資CFを支えきれなくなり、フリーCFがマイナスとなっておりキャッシュアウトが続いています。投資額は減らして財務改善を図っているようですが、営業利益率の低下と債務返済によるキャッシュアウトで金回り悪化の対策が打てていない状況ですね。本当に苦しいと思います。

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こちらは同業のドイツが誇る重電優等生シーメンスのCFですが、めちゃくちゃ優秀ですね。圧倒的な営業CFに支えられてフリーCFがジャブジャブ入ってくる企業です。GEと比べると稼ぐ力に歴然の差があることが分かります。

4.配当性分析

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EPSは目も当てられない状態ですね、、、。それに加えてキャッシュが厳しいことから配当も減配が続いています。BPSも急激に悪化しています。これは事業を次々と売却していることで資産がスリム化しているからですが、一株あたりの資産としては年々減少の一途をたどっていますので、株主的には株式価値の悪化が痛い状況です。

5.バランスシート分析

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バランスシートは意外とあまり問題があるようには見えません。自己資本比率も若干ずつですが増加傾向にあるので財務は改善させており、発行済株式数も減らしてきています。フリーCFが枯渇状態にもかかわらず、負債比率も増やさず株式数を減らすってどうやっているのかよく分かりませんが、BSは大きな問題があるようには見えないですね。

6.まとめ

結論から言いますと、GEは事業体質として営業利益率とキャッシュフローが悪すぎます。同じ重電・医療機器メーカーの優等生であるドイツのシーメンスを見るとキャッシュフローは安定していますし、EPSも安定的に伸ばしてきています。とにかく営業利益率とCFが改善できるような根本的な打開策が打てない限りはキャッシュアウトは継続し債務が増えていくと思われ、投資対象としては非常にリスクが高い企業と考えます。ここにきて不正会計疑惑がかかっているので泣き面に蜂状態ですね。

歴史ある大企業でもこのように経営の危機に直面するということは頭に入れて投資をやっていかないといけないことを痛感できた分析でした、、、。


上記分析はあくまで個人の見解になりますので、投資は自己判断でお願いします。