ノミの投資家奮闘記

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サラリーマン投資家の米国株長期運用記  

アルトリアを定額買付けし続けたらどうなるか?

こんにちは!ノミの投資家です。

 

今回はシミュレーションシリーズ第2弾で、下落を続ける高配当銘柄アルトリア(MO)を過去からずっと定額積立で投資していたらどうなっていたか??がテーマになります。

前回は下落を続ける銘柄を購入し続けていたらどうなるか?について架空の株価と配当を条件にシミュレーションしましたが、「現実と違う!」と思われる方も多かったようなので、今回は実際のMOの株価と配当を基にシミュレーションしました。 

目次

1.アルトリアの株価推移

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 こちらは過去10年間のMOの株価推移です。リーマンショック後から右肩上がりを続けてきた株価は2017年1月ごろにピークをつけて2019年10月現在まで急速に下落しています。事業環境が厳しさを増していくと見られているタバコ業界ですので、その不安が株価に織り込まれている状態ですね。一方、配当は非常に高く2019年10月現在では7%を超えており、さらに50年連続増配の配当王の仲間入りを果たしていることから配当狙いの投資家にとっては非常に魅力的な銘柄の一つとなっています。そんな高配当に目がくらみ高値掴みをしたまま含み損を抱え続けている方も多くいるのではないでしょうか?

そんなMOですが、積み立て投資をしていたら資産がどうなっていたのかをシミュレーションしてみたいと思います。

2.2008年4月から積み立てた場合

アルトリアは2008年4月よりフィリップモリスと分社化され株価が調整されたので、分かりやすいように2008年4月を基点に2019年10月まで投資を続けた場合のシミュレーションをやってみました。積立条件としては以下になります。

 

■ 積立条件

・初期投資1000ドル

・毎月100ドル追加入金して月末の終値で買付け

・配当(税後)は全額再投資

・端数も再投資 

 

シミュレーション結果は以下のようになりました。

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結果、投入資金14,900ドルに対し総資産は26000ドルと76%の資産増を達成しました!直近の年間受取配当は約1,350ドルなので投入資金に対する配当率は税引き後で9%に上ります。株価の下落と増配と定額積立ナンピンが相まって総資産は大崩れせず着実に伸びる結果となりました。増配×複利の力は絶大ですね!

3.2017年1月から積み立てた場合

2008年から積み立てていたら資産は相当額増えているのですが、一方でホルダーの中でそれぐらい長期積み立てを継続できている人は極わずかだと思います。

「2008年から積立てって、そりゃそのあと2017年ぐらいまで株価が右肩上がりだったんだから資産増えて当然でしょ!!自分は最高値のときに高値掴みさせられたんだ!」と思ってる方が多いのが事実ですよね。そんなケースを想定したシミュレーションをやってみました。アルトリアの株価は2017年1月ごろをピークに下降の一途をたどっていますが、その最高値付近のタイミングで積み立て投資をスタートしたパターンです。

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結果、資産は25%減少して約1000$の資産減を食らうことになりました。2017-2019年の株価急落が激しく評価損が大幅拡大したことで資産が減少し、配当でもそれを補うことはできない結果となりました。2018年から投資を開始した場合でもほぼ同じ%で資産が減少する結果となりました。MOが高配当とは言えど、投資期間が2017年1月~2019年10月という2年10か月程度では配当が積みあがらず、評価損のスピードに追い付けないということが分かりました。高値掴みの傷は深い、、、

未来のことを予測したくはないですが、もし株価がこのまま同じ率(年率‐10%)下落し続け、配当は増配無しのステイでシミュレーションした場合、2023年3月まで総資産のマイナスは続きました。2017年に投資し始めて実に6年間も資産マイナスが続いてしまいましたが、ただ、それ以降は資産増となるので、株価が低迷する高配当株は忍耐がある程度必要なことが分かります。

4.  原因は何か?

さて、この資産マイナスを抱え続けないといけなくなった原因は何かを考察してみます。

結果論になりますが、高値掴みの原因の一つはPERが大きく上がり過ぎていたことです。以下のチャートが配当率とPERの10年間の履歴ですが、2009年ごろは15倍を割っていたPERが2016年~2017年ごろは30倍を超え、配当率も3%台と低下しており、株価がEPSやBPSと比較し大きく上がっていたことが分かります。タバコ株がPER30倍ですよ!?事業環境的に考えると恐らく大麻の合法化や電子タバコや加熱式タバコの登場でMOの将来が明るいと期待した人たちが挙って買いに走ったことで株価が大きく上がってしまったんだと考えます。その後電子タバコやその他規制が発効されたことで将来を悲観され株価が大きく下落しました。今だから冷静に考えられますが、MOのPERが30倍、配当率が3%台だったら、おそらく今なら買う人は極僅かでしょう。2014~2017年頃はやっぱりタバコ株らしからぬ人気だった、ジェレミーシーゲル流に言うとまさに「成長の罠」に嵌っていたということですね。タバコ株にしても何にしてもバリュー株を過大評価するのは危険だということが分かりますね。

 

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5.まとめ

いかがでしたでしょうか?高配当銘柄とは言えどもやはり株価が上がり過ぎて「超高配当とは言えない状態」になると買い増しはリスクが高いことが分かりましたね。株価が急落することで短期間の受取配当でも賄いきれない含み損を抱えてしまう事態となってしまいました。バリュー株への長期定額買付けは2008年から買付けシミュレーションのように長期で続けていけば非常に有効ですが、2017年からのシミュレーションのように買付け開始のタイミングや短期的な投資では逆効果になる可能性がありますので、バリュー株投資をする際は、業界や銘柄によっては買付け時に必ずPERは確認しておく必要がありますね。高配当銘柄についつい飛びついてしまいがちですが、業界によって適正なPERはそれぞれケースバイケースで違うので、買い付ける際は機械的な定額買付けをする場合も業界をよく考えてPERを確認した上で買付けを開始するのが無難と思われます。また一方で、長期で投資を継続していけばドルコストと複利の効果が出てくるので短期的な目線ではなく高配当狙いであればある程度長期的な視点で含み損に惑わされない投資をする忍耐強さも必要なことだと考えます。

 

上記シミュレーションと分析内容は個人の見解になりますので、投資は個人の判断でお願いします。