ノミの投資家奮闘記

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サラリーマン投資家の米国株長期運用記  

禁断の大麻関連銘柄を財務分析!

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こんにちは!ノミの投資家です。

 

今回はあまり米国株投資家のブログでも記事にされていない大麻関連銘柄について財務分析をしてみました!タバコ銘柄や医薬品銘柄は大人気でホルダーの方も多いのですが、大麻についてはまだまだホルダーが少ないですよね。ノミの投資家も大麻関連銘柄は持っていませんが、「グリーンラッシュ」と表現されるほど大麻のビジネスは世界で急拡大しています。そんな大麻ビジネス関連の銘柄を財務分析してみました!

目次

1.大麻ビジネスとは?

 大麻と聞くと日本では麻薬取締法によって医療用も含め固く禁じられていますが、世界各地では医療用の大麻を認めている国もあり、医療ニッチ産業として存在しています。そんなニッチ産業だった大麻ですが、昨今米国では食用・娯楽用として合法化する州も出てきており今後の成長産業として期待されています。経済誌「Forbs」の記事によると世界の大麻市場は2016年に約77億ドル規模だったが、2021年には314億ドル(約3兆4000億円)規模にまで拡大すると予想されているそうです。70億ドルから314億ドルですから、たった5年で4倍の市場規模に成長するんですから凄まじい勢いの成長ですね!

forbesjapan.com

(当ブログでは大麻の娯楽性や医療効果などについては知識がないため一切触れません)

2.大麻関連銘柄

医療用大麻は割と有名な銘柄でも販売しており、高配当狙いの投資家から人気のアッヴィ(ABBV)もマリファナの合成成分を含むマリノールという医薬品を販売しています。またコカ・コーラ(KO)も大麻入り健康飲料水の製造を検討しているそうです。

www.huffingtonpost.jp

そんな大麻関連銘柄ですが、今回は大麻の栽培・加工を行っている、ティルレイ(TLRY)・クロノス(CRON)・オーロラカンナビス(ACB)・キャノピーグロース(CGC)について財務分析してみました。

[銘柄概要]

◆ ティルレイ(TLRY):カンナビス製品を医薬品販売業者に供給。医療カンナビスの研究、栽培、加工および世界中のカンナビス製品を販売。オーストラリア、カナダ、ドイツの患者に大麻製品を供給、カナダとヨーロッパで医療用大麻を製造。

◆ クロノス(CRON):世界的に事業を運営するカナダの多角的・垂直統合された大麻会社。複数の国際的生産・販売プラットフォームを有し、米アルトリア(MO)が株式の45%を保有

◆ オーロラカンナビス(ACB):カナダに拠点を置く医療大麻会社。コカ・コーラ(KO)と大麻成分入り飲料水の開発について協議中。

◆ キャノピーグロース(CGC):カナダに本拠を置くマルチブランドの大麻会社。カナダの医療市場における法的マリファナの製造及び販売事業、また、カナダの娯楽用途でのマリファナの生産と販売にも注力。コロナビールで有名なコンステレーション・ブランズ(STZ)が4000億円を出資。

3.収益性分析

早速財務分析をしてみます!!まずは収益性分析です。データソースはいつも通りMORNINGSTARで、2015年~2018年の4年間のデータを見てみます。

[売上・営業利益・純利益]

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[キャッシュフロー]

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 ん???( ゚д゚) ・・・

(つд⊂)ゴシゴシ
 
(;゚д゚) ・・・
 
(つд⊂)ゴシゴシゴシ


(;゚ Д゚) …!?

 

なんじゃこりゃぁぁ!!大赤字やんけ!!

ひどい収益性ですね、、、、。営業利益率がマイナスになってます、、、。しかもキャッシュフローも毎年マイナスですから、お金をジャバジャバ流出させながら商売しているような状態です。いつも高配当優良銘柄の財務ばかり見ているのでこのようなひどい収益性を見ると驚愕してしまいますね。営業利益率がマイナスってことは費用率が高すぎて本業の商品を売れば売るほど赤字が広がっていくことを意味していますので、一見どの銘柄も資金がショートして即倒産してもおかしくないのでは??と疑ってしまいます。が、一点注目すべき点は売上高の成長率です。特に4社とも2017→2018年の売上が急激に伸びています。TRLYは2倍、CRONは4倍、ACBは3.2倍、CGCは2.9倍です。売上高がこれほど急激に大幅にアップするって生産設備や販路網などに莫大な投資をかけて生産力と販売力を増強しないと達成できません。また4社とも営業利益の赤字額と純利益の赤字額があまり変わりません。これは投資を行う中でも広宣販促や営業販売面への費用がかかっているということです。つまり、この4社は現在市場の急成長に伴いそれらの営業費用投資をガンガン行っていることで営業利益率が大きく赤字となる反面、売上高が倍々に伸びていっているものと考えられます。

CRONを例にP/Lを詳しく見てみました。以下CRONの2018年決算書のP/Lになります。

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粗利率は17年の50%から18年46%へと低下していますが、それ以上に営業費・管理費などのが大幅に増大し営業利益を圧迫、また研究開発費なども増えており、販管費で前年の3倍と増大しています。つまり販売を加速するためにドンドン人員や販路網に投資しながら増強し販売を伸ばしていっている状況になります。

4.資金調達ルート

これほどの赤字を抱える会社にこれほどの投資を自力の営業CFで賄えるはずもなく、先行投資的な資金調達が必要なんですが、その金はどのようにして調達しているのでしょうか?資金の調達方法はバランスシートの負債と純資産の部にヒントが出てきますので、確認してみましょう。

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意外にも2018年現在ではTLRYを除き資金の大半を自己資本で賄っていました。ほとんど借金せずに自分たちのお金で販売活動投資をしているのですね。でもこの自己資本はほとんど他資本から出資を受けています。以下が発行済み株式数です。

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4社とも株式を大量に発行しながら資金を調達していることが分かります。まだまだ企業の信用力としては低く社債や銀行からの借金での調達が難しいため、新規で株式を発行しながら市場から資金を調達して投資に回していることが分かりますね。

5.株価チャート

 そんな4社の株価の動きはどうなっているでしょうか?4社とSP500をINDEXにして比較してみました。

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2015年からのINDEXでみると4社とも大幅に株価が上昇していますね。ただ、2019年に入ってから急激に値下がりしており、4社とも2年前ぐらいの株価レベルに下がってしまっています。17~18年の上昇は急激な売上高の増加につられた完全にバブルだったようですね。いずれにしても、値動きがものすごく激しく下落リスクも高いため投資するには大麻ビジネスの将来を信じる信念とボラティリティに翻弄されない鉄の精神力が必要そうです。

6.マリファナ関連ETF

このようにまだまだスタートアップ段階のマリファナ関連ビジネスですが、なんと既に関連銘柄のETFが存在するようです。個別では株価変動や倒産リスクも高いですが、ETFになればリスクは大幅に減らせますね!

マリファナ関連ETFについてはのんこさんが分かりやすく記事をまとめられているので、以下をご参照下さい。

non-fx.com

7.まとめ

以上、大麻関連の代表銘柄の分析でしたがいかがでしたでしょうか?大麻ビジネスは儲かる!なんてネットの情報なんかに流れているのを見かけますが、少なくともアルトリアやコンステレーションブランズなどが出資している医療用大麻の栽培・加工などを行っている業者は今のところは全く儲かってないですね。大麻ビジネス自体がまだまだ黎明期ということもあり、もし投資するとしたら今後の成長へ期待してやや投機的な形での投資になることは否めないと考えます。株価も激しく上下するので当たればラッキーぐらいの感覚でないと精神的にもたないでしょうね。ただ、米国や世界各地で娯楽用大麻の合法化が進んできており、今回分析した4社も売上高の成長率は目を見張るものがあるのも事実です。まだまだスタートアップ段階の業界ではありますが、今後世界的に規制などが再び厳しくならなければ市場自体はドンドン拡大していくかもしれませんね!

 

 

上記分析は個人の見解になりますので、投資は自己判断でお願いします。