ノミの投資家奮闘記

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サラリーマン投資家の米国株長期運用記  

【UL】ユニリーバの銘柄分析やってみました!

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こんにちは!ノミの投資家です。

今回は久しぶりに銘柄・財務分析です!12/17にユニリーバ(UL)が2019年の売上ガイダンスを下方修正したことで株価が前日比9%を超える急落となりました。ノミの投資家はULを以前から買いたいと狙っていたのですが、急落のチャンスが巡ってきたので衝動的に買い注文を入れて無事購入することができました。そんなULは優良銘柄なので既に多くのブロガーの方々が素晴らしい分析をされてますが、自分で銘柄分析をしていなかったので、事後的になりますが分析をやってみました。

jp.reuters.com

1.ユニリーバの事業

ユニリーバは言わずと知れたシャンプーや洗剤など生活必需品の他にリプトンなどの食品も含め400以上のブランドを擁するグローバル一般消費財メーカーです。本拠地はイギリスとオランダにあり全世界に一般消費材を売りまくり、売上高約6兆円の超大手企業になります。

www.unilever.co.jp

保有している製品ブランドは食品はリプトンやクノールなどに加え、シャンプーなどの美容品はAXE、DOVE、LUX、mods hairなどの日本でも有名な超有力ブランドを多数持っており、非常に高い事業価値を誇っています。このような製造系の企業にとってブランド力というのは付加価値が高く、高価格維持に有力な武器となりますので、高いブランド力のある製品を多数保有しているユニリーバの事業は非常に魅力的です。

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 事業ポートフォリオはシャンプーなどの美容製品が40%、食品40%、洗剤などが20%とバランスの取れた事業構成比となっています。ここ10年は美容製品の構成比が徐々に大きくなってきたようですね。

また、地域ポートフォリオは売上構成比ではアジア/アフリカ/中東/ロシア 45%、アメリア 31%、ヨーロッパ 24%と意外ですがアジアなどの新興国で販売力を有しています。生活必需品は人口増に比例して需要が伸びていくので今後人口が爆発的に伸びているアジアやアフリカ地域で販売力を持っているのは非常に将来性に期待できると考えます。

www.unilever.com

2.収益性分析

ここからは財務分析に移ります。まずは収益性を見てみましょう。データソースはいつも通りMORNING STARになります。

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売上高は500億EURと日本円で約6兆円を誇ります。同業で日本最大手の花王が1.5兆円ほどなのでその4倍の規模です。いかに規模の大きな企業かが分かりますね。ただ、売上高の推移は2012年頃からほぼ横ばいなので今後の規模拡大には企業買収などでの事業領域拡大が必要になると考えます。

営業利益率は17年までは14~16%程度だったのですが、18年に24%と急激に利益率が上がっています。この改善は食品事業の利益率が急激に改善したためで、2018年のanual reportによると、美容品事業と合わせて適切な製品価格の改善が利益率向上につながったようです。(ただノミの投資家としてはこれだけ劇的に改善させるのは価格運営だけでなく徹底したコストカットなどあらゆる工夫があったのではないかと推察します)。営利率24%は非常に高い水準で同業他社で米国株投資家の間でも人気のP&Gですら20%なのでそれをはるかに上回る利益率です。

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Annual Report and Accounts 2018 Highlights | Investor Relations | Unilever global company website

3.キャッシュフロー

次にキャッシュフローです。キャッシュフローはその企業が実際にお金を手元に残す力があるかを測る重要な指標になります。

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フリーキャッシュは50億ユーロと日本円で6000億円にのぼり、非常に潤沢に持っていますね。営業CFも常に大きくプラスで推移しており、投資CFが一定して低く抑えられているのでフリーCFは潤沢です。営業CFマージンは13.2%とP&Gの20%と比較すると多少見劣りしますが問題ないレベルと考えます。

4.配当性

次に配当性を見てます。

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EPSは年々増加しており2018年は営業利益の大幅改善と事業売却からEPSが急激に高くなっています。配当はユーロベースですが、年々増配してきており配当性向も50%近辺で今後の増配予知は大きいです。利益率の改善と売上の緩やかな伸びが実績としてあるので今後も増配していってくれるのでないかと考えます。19年12月現在の配当率は3%を超えておりノミの投資家としては十分魅力的な水準だと考えています。

5.バランスシート

最後にバランスシートについて見てみましょう。注目するのは負債と純資産の部です。

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 17、18年は負債が増えており、自己資本比率が低下していますが、これはULが多くの企業や事業を買収するため借金をしているからと考えられます。2018年買収に投じた総額は14億5000万ドル(約1595億円)、2017年は55億ドル(約6050億円)ということなので莫大な金額を投じて世界各地で買収をしておりそれにより借金が増えているようです。PGが18年度に投じた買収額は1億900万ドル(約119億円)なのでULがいかに果敢に投資をしているかが分かります。自己資本比率の低下で財務体質的には悪化しているのですが、潤沢なキャッシュがそれを支えて、更に着実に利益は伸ばしていることでROEがここ17、18年で非常に伸びてきています。適切に投資を行いそれが利益増につながる、キャッシュが強いため次の投資も行えるというサイクルで効率よく利益を伸ばしているということが分かります。

digiday.jp

6.まとめ

ULは強力なブランド力を誇り、さらに新興国地域への販売にも強みを持っている企業なので将来性は十分あると考えます。また、利益率の改善やCFの潤沢さなどを見ても企業の魅力としては高いと思います。ノミの投資家としては積極的に買い増していきたい銘柄ですね。一点リスクと考えられるのは為替とブレグジットの影響です。ULはイギリス銘柄のADRですが、配当はユーロ基準でドル換算されるためユーロ安になると配当金が目減りしてしまう可能性はあります。またブレグジットにより企業への税政策や配当課税などの政策が変わると多大な影響を受けてしまう可能性はありますので、その点には注意したいところです。

 

この分析は個人の見解になりますので、投資は自己判断でお願いします。