日本の総合商社 財務分析してみました!
こんにちは!ノミの投資家です。
米国株はGWの最後に対中関税引き上げのトランプバズーカを撃ち込まれて年初から続いてきたアゲアゲ相場に水を差されましたね。私の銘柄も多少下落を食らいましたが、そもそも米中貿易戦争なんて大して関係ない銘柄を買ってますので傍観するのみです!
さて、今回はちょっと趣向を変えまして日本株の財務分析をしてみました!日本銘柄は長期で保有するつもりはないのでシリーズにするつもりはないですが、いつも米国株ばっかり考えているのでちょっと息抜きとして高配当業界筆頭の商社銘柄を比較してみました。比較する銘柄は上位4社の三菱商事、三井物産、住友商事、伊藤忠です。
データのソースはMorningstarのADR基準です。
Morningstar | Independent Investment Research
1.収益性分析
まずはいつもの通り事業の規模や儲ける力を見るため、収益性の分析からです。
売上規模は商事が頭一つ抜けており7兆円を超えており、伊藤忠の5.5兆円、物産・住商の4.9兆と続いていますが、住商は2013年ごろより安定的に売り上げを伸ばしてきています。物産は2014年をピークに下降気味で、恐らくポートフォリオで資源依存度が高い点で原油価格下落の影響を受けているものと思われます。
営業利益率では、こちらも商事が7%とトップ、伊藤忠6%、住商5%、物産4%です。ここでも物産は資源価格下落の影響を一番受けていることが伺えます。トップの商事は2016年に営利率1%まで落ち込んだものの17年よりV字回復させていますので16年の資源価格暴落から事業ポートフォリオをうまく変化させて対応できたことが伺えます。伊藤忠は5~6%と安定的な収益を維持しています。
一方で純利益を見ると営業利益額とほとんど変わらないかそれを上回っている年もありますが、これは商社が持ち株の評価益や為替益などの規模がかなり大きいことを示しています。
これまで米国株の分析で営利率20%とかが当たり前だったので営利率一桁台は非常に低く見えてしまいますね、、、商社銘柄が規模の割にPERが常に低めなのはこのような利益率の低さと資源価格の影響を受けやすいというリスクを反映しているものと思われます。
2.キャッシュフロー分析
次にお金を取り込む力がどれだけあるかを計るキャッシュフロー分析です。
4社とも営業CFはプラスで推移しており良いと言えます。フリーCFも伊藤忠以外は2013~14年ごろは厳しい状況でしたがここ数年はどこもプラスとなっており株主に還元するための資金はある状況と思われます。CFの安定感で言えば伊藤忠が一番安定しており相対的に一番リスクが低いと言えます。
商事、物産、住商は比較的に投資額が大きくキャッシュを圧迫していますがあここ3年程は投資額を抑えられており、もともと資源に莫大な資金を投入していた事業構造が改革されてきていると思われます。
3.配当性分析
次に投資家にとって一番重要な配当性についてです。
配当金については非常に4社とも非常に不安定です。EPSが下がると減配も頻繁に起きます。配当率は4~5%と高い配当率を誇る商社ですが、連続増配銘柄の米国株ばかり見ていると、配当再投資スタイルの投資家にとってはこのような配当金が安定しない銘柄は全く魅力的に見えてきませんね、、、唯一住商だけは比較的安定的に配当を出しており、EPSが大きく下がっても配当を維持しようとしているのが伺えます。
ここで発行済株式数を見てみます。
株式数は住商以外がここ数年大きく減らしてきており、自社株買いを積極的に行っています。住商は自社株買いはあまりせずに配当で株主還元を行うスタイル、その他3社は自社株買いで株主還元するということが分かりますね。
4.バランスシート分析
最後にバランスシートを見ていきます。
【資産の部】
【負債の部】
4社とも自己資本比率を徐々に増やしてきており財務的には年々改善してきています。前述したように商事、物産、伊藤忠は自己株買いにより純資産を増やしていきています。ただ4社とも自己資本比率は30~35%なのであまり高くはありませんが、CFは稼げているので有利子負債でレバをかけて事業拡大していく循環が維持できていると言えます。
5.まとめ
財務状況は4社とも良好と思われますが、配当性を見ると配当再投資で長期複利を狙う投資家にとってはあまり魅力的な投資先には見えないですね。ただ、商事・物産・伊藤忠は自己株買いには積極的なのでキャピタルゲイン的な考え方なら投資する価値はあるかもしれません。ノミの投資家は俄然配当再投資スタイルなのでやはり米国高配当銘柄狙いで今後も継続していきたいと思います。
上記分析はあくまで個人の見解ですので、投資は自己判断でお願いします。
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